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雨と紅茶と椅子のうえ

愛想くらいはいい子でありたい

いぬのプウちゃん

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3月3日、
いぬのプウちゃんが死んだ。


14歳と7ヶ月、心臓の病気だった。
わたしたち家族は、一日も欠かさずにこの子を愛していた。

 

※本エントリは、極めて個人的な内容です。あらかじめご了承ください。

 

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転校が多かったわたしたちは幼少期を東京や福岡で過ごし、小学5年生のころ生まれ故郷の山口に戻ってきた頃にはすっかり「山口でずっと暮らすなんていやだ」と絶望的な気持ちになっていた。


周りを見渡しても山ばかり。自転車に一日乗らないだけで蜘蛛の巣ができる。学校は古く、街もない。


明確な理由はわからなくとも子どもながらにストレスを受け、わたしは転校してすぐに不登校になった。

 

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毎日家で泣き、学校の近くまで歩くものの家に引き返してしまう。


そんな暮らしのなかで母はわたしにこう言った。

「学校に行けるようになったら、犬を飼おうね」


しばらくしてストレスが落ち着いてきた頃には、「はやく犬に会いたいと、首を長くして待っています」とキリンの絵ばかり描いていたわたし。

 

子どもたちのストレスをひしひしと感じ、精神の不安を隠しながら過ごしていた母。


みんなの唯一のたのしみが、この、プウちゃんが家に来ることだった。

 

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迎えたプウちゃんは、本当に利口で、とにかく人の気持ちがよくわかる優しい子だった。


泣いているときはそっとそばに来てキスをしてくれたし、ぼんやりしてるときは隣にきて眠ってくれた。


嬉しそうにしていると「?」という顔つきのまま、ほんのりと尻尾を振ってくれた。話しかけると、こっちをじっと見て、何を言っているのか一生懸命聞いているようにも見えた。

 

わたしたちの気持ちに驚くほどやさしく寄り添ってくれる子。


はしゃぎすぎず、いたずらもしない。犬とは思えないほどの上品さで、いつもわたしたちを支えてくれていたプウちゃん。


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そのプウちゃんが、いなくなってしまった。

普段あまり感情をださない父が「プゥちゃんが、死んでしもうた」と涙声で電話をかけてきて、わたしと姉は急いで東京から山口へ帰った。

つめたくなったプウちゃんを何度も撫で、その日は、母と姉と私の3人で、プウちゃんのそばで眠りにつき、次の日お見送りをした。

 

 

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帰省するごとに、目があまり見えなくなり、耳が聞こえなくなり、ふかくふかく眠るぷうちゃんをみて、何度も不安になっていた。

 

14歳で病気持ちの小型犬。

 

いくら元気そうに見えても、そう長くないことはわかっていた。


でも、わかっていても、こんなに寂しいなんて。

 

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まだあまり実感もわかないまま、日常に戻ってきてしまった。

 

けれど、

 

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いま心底思うのは、うんと愛したまま14年間も過ごせたことは、わたしたちにとってじつに幸福だったということ。

 

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大学に行ってからは、よくお土産に服を買って帰った。

嬉しそうに片足ずつ袖を通して、着終わると必ずいちど身震いをして服装を整えてから、わたしたちの足元まで”ご挨拶回り”にきてくれる。

 

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服を作ったら文句も言わず着てくれたし、手作りのおもちゃも、ボロボロになるまで遊んでくれた。

 

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花を摘んで帰って見せると、本当は興味なんてないくせに一緒に楽しんでくれた。

 

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家族が出かけると、帰ってくるのを心待ちにしていたし、

 

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実家に帰るたびにはしゃいで、はしゃぎすぎてはニコニコと笑っていた。

 

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わたしたちはとにかく寝るのがすきで、楽しかった日も、悲しかった日も、くっついて一緒にいびきをかいた。

 

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そんな風にいつのまにか14年がすぎて、「プウちゃんがいれば、学校も友達も何もいらないのに」と泣いていたあの頃よりは、わたしも強くなったと思う。

 

まだ今は、「今までありがとう」なんて素敵な言葉で締めくくれないほどには寂しさも大きいけれど、

 

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これからもずっと大好きだってことだけ、ちゃんと書きたくて。

 

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最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

仕事場の仲間たちにもずいぶんと迷惑をかけました。ありがとうございました。明日からはしっかり復帰しますね。どうぞよろしくお願いします。